水没都市
坂道を車で登ると妙だ、脇の家々が水没している。
だが、その割には落ち着いた様子で運転席の人間が話をする。便乗して私の話をすると、なにかを思い出したようで遮られてしまう。
苛立ちを隠しながら話を聞いた
岩場にしがみ付いていた、何の目的だったかは覚えていない。
シャワールーム
体に鉛のような物がこびりついていくら払っても消えない。
嫉妬するとヒステリックになってしまう癖が出てしまい、耐えられない状況に思わず「しにたい、しにたい」と風呂場で叫んでしまい あとの二人は黙り込んでしまった。
ベラベラと愚痴をこぼしそうになり思わず口を塞ぐ
ガソスタ、他人から少し抜き取った万札
体に合わない三輪車で急な坂を指すが、無理だと思った。
灰色の街
灰色の街にポツンと不自然に二人掛けのベロア生地、緑のソファがある。
なんとなく腰掛けていると酔っ払いの不気味な男が近づいてきたので逃げるように立ち上がる。
待ち合わせを狙って声掛けを狙っているのか。そんな時に堂々と相手が現れてほしいと思うが淡い期待は空の向こう、もうどれだけ待ったかわからないしそもそも待ち合わせなどしていなかった。外が寒い細長いチケットのような紙だけを律儀に握りしめていた。
気づいたら寝ていたらしく目が覚めると遠くでぼんやりと映る君、ひょいと小さく跳ねて、笑って見せた。
人身売買
私は私でなく、某芸人の体だった。現実でなにか見た記憶もなく脈絡は曖昧。
スーツの男に10分でブツを売ってこいと生々しい、臓器の詰められたジップロックを渡される。
監督と呼ばれる先輩も同行した。そいつはヤクザとは思えないような優しさに溢れた人間だった。
二つ折りの携帯を渡され、母親に掛けたという。
電話に出ると懐かしい声がする。
生きて帰るのは無理だろう、
母の「4月頃に出した店はどうしたんだい」という問いに「ああ、もう今はやってないよ。」頼りない声で答えると咎めることもなく、返事が返ってくる。
「今までありがとう、実は危ない仕事を今からやるんだ。だから電話をかけたんだ」と涙ながらに伝えるとさっきとは一変した怒号が飛び、即座に切った。車に乗せられ一同でどこかへ向かう。
すでに、提示された10分を超えていた。
いけないこと
酷い豪雨に見舞われ私達はタクシーへ乗り込んだ。少しの間眠ってしまい、目を開けるとかなり近い距離で美しい青年に顔を覗かれ、心拍数が上がっていくのがわかった。
激しい雨の対策として、家電量販店へと急いでいたがその必要はないかもしれないな。既に傘をさせば問題ない程度の小降りになっており、わざわざソレの為の機械を探していた理由すらも思い出せなくなり……